カズオイシグロ氏ノーベル賞スピーチ

ノーベル賞受賞スピーチからの表現をみてみました。

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 ・表現を含む題材……………………… イシグロ氏ノーベル賞スピーチから

 ・単語、イデオム……………………… レポートで使われた単語など

 ・表現の解説…………………………… 4つの表現を中心に解説します

 ・編集後記……………………………… ノーベル賞受賞スピーチからの表

 

 

■ 表現を含む題材 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 

https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/literature/laureates/2017/ishiguro-speech.html

Kazuo Ishiguro - Banquet Speech

(カズオイシグロ氏ノーベル賞スピーチ)

 

■ 単語、イデオム ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 

 

looming ぼんやり現れる

lying on my front on a traditional Japanese tatami floor 畳に腹ばいに

なる

devastated by ~に破壊された

tribe 部族

endeavour 努力

tribal enmities 部族間の憎しみ

 

■ 表現の解説 ━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 

 

◇  Young as I was

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Young as I was, I knew heiwa was something important.

(まだ年端もいかない私でも、平和とは何か大切なものであることを分かって

いました。 )

 

Young as I wasはAs I was youngと同様なのですが、倒置させることで逆説を

示し、聞き手に分かりやすくしている表現です。

 

◇ hold

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that is perhaps why it continues to have such a powerful hold on the 

world's imagination. 

(それがきっとこれまで長く世界の人々の想像力をかき立て続けてきた理由で

しょう。)

 

have a powerful hold it's imaginationで「力強い想像力を保持する=>想像力

をかき立てる」の意味です。

 

◇  a larger one

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The emotion aroused is a larger one, a unifying one.

(わき上がる感情はずっと大きく、人々を融合させてくれるものです。 )

 

larger oneと比較級を使用しているのは、オリンピックで賞賛を浴びることと

比較して「さらに大きい」ものだ、との表現です。

 

◇  more or less

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I more or less grasped its meaning back then in Nagasaki, and I believe

I do so now. 

(私は長崎にいた時、既に多少なりとも賞の意味を理解しており、今も理解し

ていると思っています。)

 

more or lessは「多かれ少なかれ、多少なりとも」の意味です。平和への意味

を子供ながらに理解していたことを指していますが、子供なのでその理解の程

度は「多かれ少なかれ、多少なりとも」と表現しています。

 

 

■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 

 

ノーベル賞受賞スピーチからの表現をみてみました。

 

このスピーチでは、母親の直観的な正しさと平和への想いを認め、それが生涯

にわたって彼の心に残り、受賞の喜びを真っ先に母親と分かち合う、という話

しで締めくくっています。

そのような世界中の母親の想いが今後も続いていくことでしょうと、楽観的に

述べてもいます。

 

オリンピックにおける「部族の栄光」と対比し、ノーベル賞はそれよりも尊い

ものだと話しています。

 

この言葉tribeとは、ともすると昔じみた、規模の小さい文字通りの「部族」の

ことですが、皮肉を込めてこの言葉を選択しているように思います。「平和へ

の鍵は部族間の競い合いではなく、人類共存にあるのですよ」と言っているか

のようです。