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受験用の英語学習 その2

なぜ、「話す」「聞く」のスコアをあげるだけで日本の英語力低下の抜本的な解決策とならないのか。

 

それは、受験教科としての英語のサブ項目が増えただけで、相変わらず今まで同様の学習方法を繰り返しても実際に運用ができる外国語としての「英語力」の向上には必ずしもつながらないからです。

 

学校や学習塾では、試験に出てきそうな文や文章を音声ファイルとして再生することで「聞く」能力を高めようとし、試験官に理解してもらうべく「話す」練習をするのだと思います。

 

残念ながら、そのような付け焼刃的な方法では、本格的な言語運用ができるレベルまでたどり着けるかは確かではありません。

 

「話す」「聞く」以外でも日本の受験用の英語学習法は、語彙、文法習得に重きを置きすぎではないか、との指摘が多く聞かれますが、総じて日本の英語力が、かけている時間の割に成果が出ていないのには、英語力を評価する手段がほぼ受験に限られていたことが大きな要因だと思います。

 

実際、多くの人が受験が終われば、いわば目的を達したとして、英語は勉強しなくなってしまいます。

 

このロジックを整理すると以下のようになります。

 

なぜ英語を勉強するか?

=>学校で必須だから。ではなぜ必須なのか?

=>受験科目だから。では、どうすれば受験で良いスコアを出せるのか。

=>塾へ行き受験用の練習問題(語彙、文法問題、読解問題中心)をする。

 

このロジックは日本の学生の極めて合理的な行動パターンを説明しています。

 

一方、文科省は2020年からセンター試験に加えて民間の英語外部検定を一部取り入れ、2024年度からは英語外部検定のみに移行することを公表しています。

 

では、上記のロジックは変わるのでしょうか。想像してみました。

 

なぜ英語を勉強するか?

=>学校で必須だから。ではなぜ必須なのか?

=>英語外部試験の△X級が大学進学に必要だから。では、どうすれば英語外部試験で良いスコアを出せるのか。

=>塾へ行き英語外部試験用の練習問題をする。(塾も体制を整えて進化し、「英語外部試験の△X級対策」を磨いてきます。)

 

確かに英語外部試験では「話す」「聞く」要素も評価対象ですから、今の方法よりは英語能力向上の効果は出るのだろうと思います。ただ、受験が英語学習の最終目標であることに違いはないわけですから、やはり受験後は勉強が終わってしまう学生が多いのではないかと思います。

また、試験のテクニックを磨く、という点では今と大して違いはないので、やはり実用的な英語力の向上にはつながりません。

 

ではどうすれば日本の英語力向上が図れるのでしょうか。

 

次回、最終回でご紹介します。